体外受精
ふりかけがいいの?
それとも顕微授精がいいの?

Sさん(40歳)はショート法で9個の卵胞を採卵。
1個は採卵の時点で変性卵でした。
残りの8個のうち4個をふりかけで受精させる方法と
4個を顕微授精することにされました。

ご主人の精子の状態が余り良くないので、顕微授精もするように
ドクターにお願いすることをお勧めしていました。

案の定、卵胞に精子をふりかける方法では、受精は0個。
受精しませんでした。
もし、顕微授精もお願いしていなければ、たぶん8個採卵して
全て受精しなかった確率が高いです。

それは、やはり精子の問題があるからでしょう。
しかし、顕微授精をすると自然に受精させる力がなかったとしても、
人の手を借りて精子を卵胞に入れて授精させることが可能です。

ですから精子をふりかけて自然に受精させるのを「受精」といい、
顕微授精は人の手を借りるので手偏がついて「授精」になるんです。

Sさんは顕微授精4個のうち3個授精して、2個が胚盤胞になって
凍結できました。
おおよそ40歳くらいで10個採卵して、胚盤胞になるのは
2個~3個くらいです。
4個のうち2個が胚盤胞になったのだから、授精の確率は
大変良かったのではないかと思います。

Sさんには採卵後の高温期に治療に来ていただくように
お願いしました。
採卵後は卵巣が腫れたり、体調を崩したりされる方も多いですし、
ショート法で採卵されると、採卵後から10日目くらいで
生理が始まってしまう方を多く見かけてきました。

本来なら排卵して2週間かけて高温期が続き生理が始まるのですが、
いつもより早く生理が始まって驚かれる方も多いです。
病院で生理が早く始まるかもしれませんよ・・・とアドバイス
もらっている人は少ないように思います。

採卵後の鍼灸治療は高温期をしっかりキープするための治療と、
採卵で疲れた体を癒す治療を心がけています。
あっという間に、生理が始まるとその周期が胚移植という
ケースが多く、心の準備ができていないこと不安がいっぱいでしょ。

胚移植の前の周期の高温期をキープする治療をすることは、次の
胚移植してからの高温期のをキープする力を身体に記憶して
もらうようにするためなんです。

胚移植をして、プロゲ座薬、デュファストン、エストラーナテープ等々、
お薬がいっぱい出されますが、高温期にならない方もおられます。
そんな場合、まず妊娠の可能性はかなり低くなります。
お薬が効いてないということですね。

自然に妊娠する時って、自分の力で
プロゲステロン(黄体ホルモン)も
エストロゲン(卵胞ホルモン)も十分に出て、
妊娠が継続されるわけですよね。

ですから、高温期をキープする力をつけるというか、
身体に高温期に必要な女性ホルモンを出させる記憶を
鍼灸治療でつけるわけです。

Sさん(40歳)の6回目の治療は生理が始まって11日目。
Sさんの胚移植の方法は自然周期の凍結胚移植なので、
病院での診察は排卵前の卵胞チェックをすること。
当院も、そのサイクルに合わせて治療させてもらっています。

いよいよ、胚移植へ・・・
次回はSさんのエピソードは最終回です。

to be continued
Omura