前回は「次の採卵を最後にしようと思っています・・・」
で終わりましたね。
3ヵ月間休養して、鍼灸治療だけ来てくださいました。
そして、人生最後の採卵に臨むことになりました。

ショート法で14個卵胞ができました。今までで一番多く卵胞が
育ちました。
採卵し顕微授精で7個が授精、そのうち5つ胚盤胞で凍結できました。
39歳でショート法で5つも胚盤胞凍結できるのは、
とってもいい状態です。
普通は彼女の年齢だと、10個採卵して1~2個。
多くて3個胚盤胞凍結できれば良い方です。

今回、Nさんはグレードも向上し、4ABと4BA評価が2個もできました。
そして、人生最後の凍結胚盤胞移植をすることになりました。

生理が始まってから14日目で子宮内膜は8ミリ。
ちょっと薄いけど胚移植できる範囲内です。
当日、まず午前中に治療しました。やっと胚移植できるとなると、
誰もが緊張するものです。
リラックスできるツボを中心に、子宮内膜も厚くなるように、
子宮に関係するツボを選んで鍼をします。
それにお灸スーパーライザーを照射する場合もあります。

鍼灸治療後に胚移植に臨むとリラックスできた状態で体がポカポカして
子宮の中の血行も良くなっていて、胚が着床しやすくなります。
胚移植後にも判定までの間に3回治療しました。

それは胚移植後から着床が始まりますので、子宮内の血行を
良くして高温期のホルモンを出しやすくするためです。
2週間後、判定はプラス。
翌週から流産予防の鍼灸治療も14週までしました。
20回目の胚移植で妊娠。
10年の長い不妊治療のトンネルを抜け、卒業されました。

先日、Nさんからメールをいただきました。
おおよその内容は、11月○○日に無事に元気な男の子の
赤ちゃんを出産でき、ほっとしました。
これも先生達のおかげです。本当にありがとうございました。
携帯からメールしているので、上手く写真が送れているかわかりませんが・・・

・・・と赤ちゃんの写真を添付してメールしてくれました。
今回の移植を最後にしようと思って臨んだ20回目の胚移植。
本当に10年は長かったと思います。
鍼灸治療に来られて約1年くらいかかりましたが、
それまでの9年間は辛かったと思います。

このような話は希ではありません。もう何度も経験してきましたが、
治療に来ていただいて本当に良かったと治療家冥利につきます。
京都でしか治療していないのですが、自分が不妊治療をされている
患者さんとこの時にこの場所で治療させていただいているのは
「縁」だと思っています。

Omura