Fさんはソフィアを10日間服用し、生理9日目の診察で卵巣が腫れている
ということで採卵の延期になりました。
またソフィアを10日間服用し、生理が始まって3日目の診察になりました。
生理3日目の血中ホルモンの値は、E2 5、LH 7.4、FSH 8.2でした。
この周期は3日目からフェマーラ1錠を5日間。3日目、5日目、7日目に
ゴナールの注射。

当院では生理7日目に鍼灸治療をしました。

9日目の診察で左に10ミリ、7ミリ、5ミリ、右に13ミリ、14ミリ、8ミリの
6つの卵胞が育っていました。
結局14日目に3個採卵して1個凍結できました。(3日目の卵胞)
トータル4個の卵胞の凍結ができました。
1日目で凍結している3個を3日間の培養に育て、3日目で凍結している1個の中から
良いものを2つ選んで2個胚移殖。

判定はマイナスでした。

生理が来て診察。今回はクロミッド1錠を6日間服用し
採卵しようとするものでした。

ただ、卵巣の衰えがあるのに注射や経口薬でFさんの卵巣は瀕死の状態。
3日目の診察で卵巣が腫れてしまいました。
卵巣が腫れると腫れが収まるまで経過観察ですが、

5日目に鍼灸治療しました。
卵巣が腫れた時にも鍼灸治療で卵巣の腫れが早く治るようにします。

10日目の診察で卵巣の腫れは引いていたものの、E2の数値は40くらい。
低いですね。
その後クロミッド2錠を3日間追加され、18日目で2個採卵、
1個凍結できました。

度重なる薬の服用でFさんの体の調子は最悪。
倦怠感に頭痛。
その度に鍼灸治療に来られると、体調は良くなるので、
ソフィア服用中の高温期も定期的に鍼灸治療に来られていました。

生理が始まり今度はクロミッド1錠を6日間で卵胞を育てる予定でしたが、
10日目の診察でE2は19.6。今回も低すぎますね。
その後鍼灸治療しました。
16日目で卵胞は14ミリ、12ミリ、11ミリの3つ育ちました。
今回は卵胞の大きさが割と均一ですね。
こういう時は卵胞の質がいいことが多いですよ。
E2は372.8まで上昇。LH 6.2、P4が0.94。
結局、20日目で2個採卵。2個とも3日目で凍結できました。

よく、14日前に卵胞の育ちが悪いからとリセットするクリニックが
ありますが、もう少し様子を見てもいいのに・・・と思うことがあります。
少々日数がかかって採卵したら、卵胞の質が悪いから・・・と言われることも
あるようです。

そんなことないですよ。
Fさんは、生理20日目で採卵した卵胞2個を受精3日目で凍結して、
翌月に自然周期の凍結胚移殖で妊娠したのですから。
(前回とれた凍結胚はこの時は使っていません。)

胚盤胞移植でないと・・・という傾向にありますが、
43歳になって、もともと胚盤胞にならないから胚移植できなくて移植が
延び延びになって胚移植のチャンスを失ってしまう患者さんも多くおられます。
それなら、胚盤胞にならないなら受精2日目や3日目で移植して、
40歳以上で妊娠される方もおられます。
胚移植に合わせて鍼灸治療で子宮の血行を促進さます。
ここは当院の治療のポイントのひとつです。

ちょっと飛躍的な考え方ですが、シャーレの中での培養には子宮と同じ
成分に調整されていますが、本当に子宮の中と同じ環境なのかな・・・と思います。
人間の子宮のには「気」のパワーがあって、移殖された胚を何とか育てようとする
未知の力が働くのではと思います。
だって、シャーレには胚を育てる栄養素はあっても「気」がないでしょ。

妊娠された周期は低温期に1回。胚移植2日前に1回。
スーパーライザーもして子宮内膜が厚くなるようにしました。
胚移植4日後に1回。胚移植8日後に1回。
判定までに計4回の治療をさせていただきました。
もちろん妊娠判定プラス後は、週に1回ペースで妊娠12週と4日まで
流産予防の鍼灸治療をさせていただきました。
そして妊娠20週になったところで、鍼治療と安産のお灸の練習をしました。

この胚移植の前にFさんは言われました。
「大村先生、今回の移植で最後にしようと思っています」・・・と。
「いいんじゃないの。考えて納得して最後の移植に臨むなら・・・
悔いのないように頑張ったんだから」・・・と答えました。
とってもプレッシャーのかかる治療でしたが、
Fさんがママになれたのは、次が最後と思いつつもあきらめずに
頑張ってきたからだと思います。

私はFさんの妊娠体質のお手伝いをしただけですが、20年にわたって
不妊治療専門の鍼灸治療してきましたがこのような話はいっぱいあります。
心と体のケアをして妊娠体質の準備をすることは、やはり大切だなと思うのです。

Omura