I さん(35歳)が当院に来られたのは2010年の10月のことでした。
当時は31歳。同年の9月に掻把(そうは)されてからのことでした。
彼女はもともと学生時代の無理なダイエットと受験勉強のストレスが
原因で17歳のころから生理が止まっていました。
ご自分の希望する仕事に就くことはできたのですが、
これもストレスの多い職場だったようです。

I さん、自力での排卵は無理でしたので○○病院でショート法で採卵し、
妊娠されましたが、残念ながら妊娠10週で赤ちゃんの心拍が
止まってしまったのです。
原因は良くわからないということでした。

無排卵だからと言って妊娠できないということはないんですよ。
経口薬や注射で卵胞が育てはタイミング療法も人工授精も可能です。
もちろん体外受精もですね。

ただ、無排卵の人の卵胞が育つのは、体外受精で注射を何回かして
やっと採卵できるというケースが多いように思います。
卵胞の質はどちらかといえば良いとは言い難いと思います。

彼女のなかなか妊娠できなかった理由の一つに、
ご主人の精子の問題がありました。
体外受精はできますが、精子の運動率や量、濃度が悪く顕微授精に
限られていたからです。
ご主人の精子の運動率の平均はおおよそ10%~20%だったと思います。

男性の精子の問題ですが、西洋医学的に見て一匹の元気のいい精子がいて、
受精させる能力があれば妊娠には問題ないと言われます。
ちゃんと授精できているわけだから・・・。
I さんのご主人は仕事もハードでストレスも多く慢性の睡眠不足。
ご主人が当院に来られた時は、疲れた感じで顔につやが無く蒼白な感じで、
声にも元気がなかったですね。
奇形率も高く、培養士さんの話では10匹中8匹くらい動きが
止まってしまっている状態でした。
動いているのを見つけても、精子が痙攣しているようなときも
多かったようです。

I さんご夫妻は、ご主人にも奥様にも問題ありのカップルだったのです。

不妊治療をされているカップルでどちらかに問題があって、
男子が何%で女子が何%で、そのうちの何%が・・・とネットを開けば出てきますが、
世の中に男と女がいてフィフティー×フィフティーじゃないかと
思う時があります。

精子の運動率が良いからと言って、それだけで男子に問題が無いということは
無いのです。

以前治療させていただいていたOさんご夫妻は妊娠はできるけれど、
妊娠8週くらいで流産を繰り返してしまう。
奥様の問題だけではないのではと思ったのです。

確かに奥様の卵胞の質は良くはなかったのですが、鍼灸治療をしてから
1年くらいでかなり良くなっていたからです。
・・・もしかしてと思い精子の詳細な検査を勧めました。
検査結果はご主人の方に遺伝レベルでの問題が見つかりました。
この問題を解決するためTESEをして、妊娠・出産されました。

参考になればと思いますが、
男性の問題に関しては京都では足立病院生殖内分泌医療センターの
ビルの1Fにある「いちおか泌尿器科クリニック」は便利ですね。
市岡先生の人柄もいいし。

大阪ではグランフロントにある「リプロダクションクリニック大阪」
石川先生も有名ですね。
どちらの先生にも患者さんを紹介したことがあります。
いずれも結果はOKで、奥様は妊娠・出産されております。

さて I さんですが、卵管は通っているようでしたので、
鍼灸治療をしながらダメもとのタイミングを3ヵ月ほど
続けてもらいました。
排卵はしていないけれど、もしかしたら・・・というのもありましたので
タイミングをおすすめしたのは、愛を育むエクササイズも
おろそかにしてはいけないからなんですよ。

鍼灸治療から3ヵ月後の I さんの生理の色が変わり始めました。

えっ!!生理が来たの・・・と思っておられる方もおられると思います。
詳しい内容は次にご紹介しましょう。

to be continued
Omura