今回が I さんのお話は最終回です。
I  さんはその後半年くらい鍼灸治療に専念されました。
月に2~3回のペースで来院されました。
それは次のショート法での採卵に向けて、ちゃんと準備を
したいということと、疲れた体を癒すためでした。

そして2012年5月にショート法。
14個採卵、そのうち5個授精、その他は未熟卵でした。
以前より卵胞の数が取れるようになってきましたが、
卵胞の成長がまちまちだったので、16日目での採卵でした。
・・・ですが、受精卵はすべて2~3日目で分割停止。
胚移植はキャンセルになってしまい、病院に通うことを半年ほど
休むことにされました。

病院に通院するのを休んでいる間も、当院へは回数を少し減らし、
月に2回くらいのペースで疲れた体を癒しに来られました。

半年後、思い切って転院され、フェマーラとhmgの注射、セトロタイドを
使って11個採卵。4分割と8分割の受精卵を2個ずつ、計4個凍結できました。
2013年に入って、人工周期で2日目の凍結胚を2個胚移植。
結果はマイナス判定。
ショックで何もできない状態になってしまいました。
その後、病院も鍼灸治療も6ヵ月休み、何もしない時間を作られました。

何もしない時間も大切ですね。

6ヵ月後来院され、ベッドで待っているI さんに「久しぶりですね」と話しかけると、
我慢していた涙が堰を切ったように溢れ出しました。
鍼灸治療できる状態ではなかったので、10分ほどしてから、

心を落ち着かせるツボを選んで治療しました。

翌週にもう一度、同じ方法で治療させていただきました。

すると、もともと生理は自分の力で起こすことはできないのですが、
薬を使って生理を起こさせてから、2回の治療をして、43日後に自然に生理が来ました。

2013年の11月にまた転院されていました。
ドクターとの相性やクリニックの方針など、いろいろな問題が
ありますからね。

2013年の12月の診察で生理から9日目の診察で、
小さい卵胞が見えると言われました。
卵胞が自然に育っていたのです。
卵胞の成長が遅いので、とりあえず22日目にタイミング。
生理が来る。

2014年2月になり、生理が始まって2回ほど鍼灸治療。
22日目で卵胞は見当たらないと言われたが、29日目に来院。
I さん、「先生、昨日排卵したかも・・・」とポツリ言われました。
「10代のころ、まだ生理が自然に来ていた頃の感覚があったんですよ」

実に18年ぶりのことでした。
おりものが急に増えて、今朝の基礎体温は36.9度あったようです。
ですが、タイミングはできなかったようです。
たぶん排卵してから13日目くらいで生理が来てしまいました。
でも、生理周期の日数40日くらいかかりましたが、続けて自然に
生理が来ていることに I さんは、「前向きになれました」・・・と
行ってくれました。

そして、次の周期、3月に入って26日目の卵胞は19.6mm。
やはり成長のスピードは遅いですが、薬なしで自力で卵胞が育っていました。
27日目に人工授精。
ご主人も奥様が頑張って治療して排卵するようになったということで、
人工授精の前に2回ほど精子の運動率を上げるため、鍼灸治療に来られました。

5~6年にわたって採卵しては胚移植し、または胚移植すらできなかったりが
続いた彼女の不妊治療でした。

人工授精の後、3回ほど高温期持続のための鍼灸治療をしました。
人工授精18日後の治療の時、生理はまだ来てないとのことでした。
脈を診断すると、妊娠の脈が表れていました。

「妊娠してるかもね。妊娠の脈が出ているから・・・」と伝えました。
I さん、「え~!!先生に今までそんなこと言われたことないですよ」
「だって、ダメもとの人工授精だし、来月、ショート法で採卵予定ですよ」

「でも、人工授精から18日後だし、妊娠の脈があるからね。」
「採卵して・・・だけが最終手段じゃないよ」
ステップダウンという方法もあるし、体外受精していてなかなか妊娠できなくて、
次の採卵の前に妊娠することも良くある話だよ」と言いました。
「明日、生理が来てなかったら病院に行ってみて、判定してもらったらどうかな」
・・・と勧めました。

翌日、電話で連絡があり、妊娠のプラス判定が出ました。
一度、体外受精で妊娠し、早期で流産経験があるので不育症の検査は
済ませておられました。検査結果は何もなかったので、不育症で流産の
心配をする必要はなくなっています。
翌週から流産予防の治療を1週間に1度のペースで、
15周と6日までさせていただきました。

総括すると、18年間無排卵でしたが、鍼灸治療で自然排卵するようになりました。
排卵するまで28日かかりましたが、人工授精で妊娠されました。
精子の運動率の低いご主人の治療をさせて戴いたのも、
I さんが人工授精で妊娠された大きな要因だと思います。

不妊治療をしていて何度も心が挫けて、もう治療はやめようと思われたことでしょう。
でも、そのたびに休憩して心と体のバランスを整えに来られて、
あきらめなかった I さんの頑張りが妊娠、出産へ導いたのだと思います。

2014年12月に出産。I さん、35歳と2ヵ月のことでした。

もし、不妊治療に疲れていたら、心と体のバランスを整えに来てみてください。
毎月、無料カウンセリングをしていますのでご利用してください。

Omura