前回は、Kさんの治療法について、
先ずは症状が出ている胃の不調で出てくる口臭の治療を優先しながら、
肝の気を静めて穏やかな精神状態になるように治療するわけです。

こんな症状の時、公孫(こうそん)というツボを使うことが多いです。公孫テキスト
ツボの詳しい話は次回ご紹介しましょう。

・・・で終わりました。
今回はその続き。
公孫(こうそん)と言うツボは、健脾和胃(けんぴわい)の
特効穴のような効果があります。
漢方でいう特効薬みたいに、非常に健脾和胃に効果が高いです。
健脾和胃とは疲れた胃を健やかにし、胃の消化吸収能力を高め、
本来の健康な状態に治すというものです。

公孫(こうそん)の名前の由来は中国の皇帝の名に由来することから、
ツボの中でも高貴な名前です。
Kさんの口臭を治すために使いましたが、ストレスで胃の不調を訴える人に
効果が期待できるツボです。

それに公孫には別の治療効果が期待できたからです。
東洋医学の治療の効果を四字熟語で表すと、調理衝任統血摂血があります。

女子が妊娠するために、衝脈、任脈の気の流れがスムーズでなければならないと
されています。衝脈、任脈を合わせて、衝任の脈といいます。
調理衝任とは衝任の脈の流れをスムーズに調整するという意味です。
調理とかいてあるから、クッキングとは全く関係ないですよ~。

統血摂血とは血液の流れや量を調整するという意味です。
血液の流れが悪くても妊娠しにくいし、血液量が少なくても妊娠しにくいです。
血液の流れが悪いと女性ホルモンが体の隅々や子宮にうまく届かなくて、
子宮を養えない。
血液量が少なくても血行が悪くなり、五臓六腑を養えない。
妊娠するための子宮に充分に血液が届かないと、子宮内膜も干からびた
状態になってしまいます。
妊娠に必要な子宮内膜は瑞々しくてふかふかの状態でなくてはなりません。

公孫には妊娠しやすい状態を作ってくれる効果があります。
ツボの場所は足の内側。親指の出っ張りから指の幅2~3本踝に
向かったところ。
胃の調子が悪いときに足の内側を親指などでツボ押しすると
痛気持ちいい場所があります。だいたいそこが公孫のツボにあたります。

ただツボ押しをするのはいいのですが、妊娠の可能性がある高温期
(タイミング、人工授精、体外受精後)は公孫のツボ押しはしてはいけません。
妊娠判定前で受精卵が着床した後は、このツボを刺激すると逆効果で妊娠を
妨げてしまう可能性があります。

ですから、妊娠の予定のない高温期や低温期にお風呂に入った時など、
2~3分ツボ押しマッサージするだけでも、胃腸の調子を良くして、
妊娠の効果を高めてくれますよ。

次回はAMHが1ng/ml以下だったKさんの、大逆転でママになれたお話は
最終回です。

Omura