Nさんは2012年3月に掻把の手術をされました。
ソフィアを8日間処方され、その後生理が始まり検査の結果、
β-hcg値はゼロになっていました。

この周期に凍結している胚を移植することになり、凍結胚移植の
スケジュールに合わせて生理4日目と9日目に鍼灸治療をしました。
胚移植前の子宮内膜は9.3mmと申し分ありません。
ただ、凍結胚のグレードが授精4日目の胚で、G3。決して良くはありませんでした。
本来なら授精4日目なら桑実胚になっていないといけないからです。
もしくは、早い人なら初期胚盤胞なっていることもあります。

凍結胚移植後も2回、子宮内の血流を良くするために治療に来ていただきました。
結果は残念ながらマイナス判定。

プラノバールを21日間処方され、次の生理を待つことに。
その間、仕事の疲れと胚移植の緊張の疲れからか、もともと肩こりと腰痛が
ひどかったのがピークにきたようでした。

プラノバールを服用中も2度ほど疲れを癒しに治療に来られました。
Nさんは特に左腰が辛いと言われていたので、股関節の歪みをチェックすると
左右のバランスが2センチも崩れていたので、整復し股関節を正しい位置に
戻したら、腰痛はかなり楽になりました。

腰痛の話になりますが、レントゲンやMRIの所見でわかる明らかな
腰痛は腰痛全体の20パーセントほどと言われています。
腰部のヘルニアや脊椎管狭窄症、すべり症、分離すべり症など・・・。
または筋肉のコリによる腰痛など。

仙腸関節がづれてとか腰椎や股関節がづれて腰痛が出ることもあります。
Nさんの場合は仙腸関節のづれが腰痛の原因だったと思われました。

腰痛全体の80パーセントは、実は原因がよくわからないのです。
先日、NHKで腰痛の特集をやっていました。
近年の研究では、脳の痛みを制御する機能がうまく働かなくて、
本当は腰痛は出ていないのに、脳が「幻の痛み」を作ってしまっているという
研究結果も出ています。
また、腰痛が出てしまったらどうしよう・・・などの恐怖観念やストレスが、
脳の痛みを制御する場所の血流を悪くし、その働きがうまく機能しなくなっているようです。

「ストレス」って、ほんと、怖いね~。
ストレスが強くなったり、溜まったりして女性の場合は女性ホルモンの分泌が
阻害されて、生理周期が乱れ卵胞の育ちが悪くなることが多いです。
また排卵させるための指令が上手く脳から卵巣に伝わらなくて、
排卵障害になっている人も少なくありません。

Nさんもなかなか卵胞の質が良くならなかった人でした。
何度採卵して授精させても、胚盤胞になる以前に、授精3日目で変性卵に
なってしまうことも多かったのです。
仕事や不妊治療のストレスで、Nさんは毎回来るたびに心身ともに
へとへとな状態でした。

いかに心と体の疲れを癒すかは、良い卵胞を育てるためのキーワードになります。
Nさんが良く言ってくださいました。
「病院に検査や採卵のために長い時間待合室で何時間も待っているのは
とってもストレスだったけど、鍼灸治療に行くのは楽しみにしてました」
「だって体が楽になるということと、いろいろと話を聞いてもらえるから、
ストレスも軽くなります」・・・と。

プラノバール終了後、Nさん(当時40歳)のチャレンジは、もう少し続きます。
ただ、Nさんが妊娠・出産され子育てをしたいと願った夢が叶えられたのも、
諦めなかったからだと思います。

to be continued

Omura