グレードの悪い胚盤胞移植

 

2012年6月、Nさんは40歳を目前に控え、4日目の凍結胚を
人工凍結胚移植することになりました。
生理から14日目の診察で子宮内膜が6.8mmと胚移植するには
薄いので、4日後の診察でとうするか決めましょうと、担当ドクターと話をしたと
電話連絡がありました。

生理から18日目の診察後に当院に来られました。
子宮内膜は7ミリ。
4日間でたったの0.2mmしか増えていません。
エストラーナテープを3枚も貼っているにもかかわらず・・・。

当院ではご予約をいただく際に、患者さんの診察後の状態を伺い、
なるべくベストなタイミングで鍼灸治療させていただけるように、
患者さんと密に電話でお話をするようにしています。

予想以上に卵胞が育っていたり、または育ちが悪かったり・・・
子宮内膜が予定より薄かったり、ホルモン血が基準に達していなかったり・・・
生理が予定より早まったり、遅かったり・・・と、
卵胞や子宮内膜の状態は毎月同じように発育しているとは限りません。
体調や睡眠不足、仕事が多忙で疲労が溜まってしまうとかで、
タイミングや人工授精、体外受精の胚移植の時期を逃してしまうことが
少なくないからです。

それと、ドクターの説明が良くわからなくて、頭の中が
こんがらがってどうしていいかわからなくなってしまう方も少なくないです。
そんなときは、なるべくわかりやすく説明させていただいています。

Nさんは子宮内膜が4日間でたったの0.2mmしか増えていなかったですね。
診察後、当院に来られてなるべく子宮内膜が増えやすいツボを選んで鍼灸治療と
スーパーライザーを使用しました。

鍼灸治療の3日後の診察で、子宮内膜は8.3mmに増えていました。
そして、人工凍結胚移植の日程が決まったのです。
ただ、凍結胚のグレードがたぶん4BC評価で、「いいね!」とは言えない
グレードだったのです。

妊娠するためには、いろんな過程を経て妊娠に至るわけですが、
いくら子宮内膜の状態が良くなっていても、受精卵のグレードにC評価が入ると、
妊娠の確率はぐっと低くなってしまいます。

反対に、受精卵がAAやAB、BAなどのAが入るグレードの高い評価でも、
子宮内膜が薄かったり、腹腔内の血行が悪くて子宮内が冷えてしまうと、
せっかく評価の良い受精卵を移植しても妊娠できないことが多いと思います。

Nさん、残念ながら判定はマイナスでした。

残っている凍結の授精卵は4CC評価で、授精から6日目で胚盤胞になった
ものでした。
ドクターは続けて凍結胚移殖を勧められました。
妊娠するためには残っているグレードの悪い凍結胚を移殖するしかないのですが、
結果は想像がつきます。

次、胚移植してもNさんが辛い思いをするのではと思うと、
採卵をし直す方が早道ではないかと思うこともしばしばです。
治療に来られて約1年にもなるので、採卵のための準備ができていると思うからです。
ですが、Nさんの体の状態は思ったより良くなっていなかったので、
胚盤胞の凍結胚移植に合わせて、治療させていただきました。

・・・凍結胚移植の結果はまたしても、マイナスでした。

Nさんの体を妊娠体質にするために治療させていただいておりましたが、
彼女の体質がなかなか良くならなかったのは、
治療の効果以上に、
「仕事がとっても多忙で、とにかくストレスと体の疲労が激しかったからです。」

とうとう凍結胚が無くなってしまったNさん。
ドクターはNさんに、アンタゴニスト法を提案したのでした・・・

to be continued
Omura