2013年、Nさんは41歳になっていました。
なかなか結果が出ない焦りや、同じ病院で5年も治療していて
妊娠できないことに疑問も生じていました。
そこでNさんは転院を決意。
その時に相談も受けましたが、私は積極的に賛成はしませんでした。
その理由は内膜を再生させる方法でチャレンジしようとしていたからです。

この方法は一つの選択肢と言えますが、ん~どうかな?
言うほど結果が出てないのではと思っていたからです。
ですが、何か新しい方法にチャレンジしたいという意欲をもったNさんに
気持ちをストップさせる方が逆効果だと思い応援することにしました。

Nさんは大阪のO病院に転院され、子宮鏡検査に、子宮に菌が
あるか否かのチェックをされ、どちらも問題はないということでした。

このクリニックでもアンタゴニスト法で採卵することになりました。
以前、アンタゴニストでいい結果が出ていないので、別の方法もあるよとは
説明しました。
Nさんにはショート法が向いているのではないかと思っていたからです。

ですが、O病院の方針でアンタゴニスト法で採卵することになりました。
結果、出てきた卵胞は4つ。採卵できたのは2個。
2個の授精卵は途中で分割停止で、胚移植どころではなかったのです。

プラノバールを10日間処方され、次の周期はクロミッドでの採卵になりました。
卵胞は4つ出てきて、3つ授精。2日目の凍結になりました。
歯の治療もあったので2ヵ月ほど休んで、子宮内膜も8.3mmあったので、
2個を人工の凍結胚移植されました。
結果はまたしてもマイナス判定。

その後もクロミットで採卵して初期胚盤胞になったものを凍結。
移植。マイナス判定。
またその後も、2日目の凍結胚を1個移植。
マイナス判定。

なかなか結果がでなく、Nさんは治療に来られるたびに、
「先生、なんでこんなに結果がでないんでしょう。
鍼灸治療にも来て、体調は以前より良くなったし、受精卵の質も向上したのに・・・」
「私、このまま妊娠できないんでしょうか・・・?」
・・・と聞かれることもときどきありました。

そんな時、Nさんの話にしっかり耳を傾け、話をきくようにしました。
出口が見えてこない人に、「頑張って!!」とは言えません。
ただ、Nさんも相当苦労しているけれど、同じような境遇で大変苦労されたけど、
当院に来ていただいて不妊治療を卒業されて、ママになる願いをかなえられた
人たちのエピソードを話すこともあります。

「先生、何かいいお話で力が湧いてきました」と言ってもらえた時は
本当に良かったと思います。

当院に治療に来られて、ママになる願いをかなえられた方は、
985人になりました。
今までに985回分の様々なドラマがありました。
これって、韓流ドラマより長いですよね。

そこで、そろそろ転院の話をすることにしました。
Nさんの今までの経緯から、私が信頼する京都のA病院か大阪のI病院を勧めてみました。
そして、Nさんは大阪のI病院を選択されました。

さて、次回、いよいよNさんのエピソードはクライマックスへ。

Omura