今回でこのシリーズは③ですが、
足立病院生殖内分泌医療センターで発行している
最先端医療と東洋医学による未妊サポート情報誌「ふっくらNo.8」の
中面の最後の紹介です。
今回は高雄病院の漢方医・橋本正也先生の話が中心になってきます。

漢方薬で冷えのぼせを治す

橋本:
お血、つまり血の流れが非常に悪くなっている人には、
桂枝茯苓丸を用います。つまった血管を掃除するイメージです。
冷えですが、パワー不足の冷え。お血、血虚、つまり
血の流れが悪いための冷え。
ストレスなどで気の流れが滞って起こる冷え。水分の
過剰の冷え。

体が熱すぎることで起こる下半身の冷え等、様々な原因があります。
これらの原因に合わせて漢方薬を用いるのですが、
例えばパワー不足の人に用いる八味地黄丸を体が熱くて
冷えのぼせしている人に用いると、むしろ悪化します。
患者さんの訴えによく耳を傾け、その方の状態を
正しく把握することが大切なことです。

あと、体のパワーの源は、胃腸の栄養吸収です。
胃腸の弱い人には六君子湯などで胃腸の機能を
良くすることが不妊症の治療においても重要です。
胃腸を傷める漢方薬は用いてはいけません。

大村:
全身の血行が悪くなるお血や血行が悪くなった場所に
できるお血、月経血がしっかり出なくて子宮の中に残った
血液が古くなりお血になったりして不妊症の原因になります。
月経血が紫色がかった色で塊が多く出たり、粘り気が多いのは
子宮内膜にお血が溜まっている状態です。
三陰交はお血に使う代表的なツボです。
太衝も気を巡らせて停滞しているお血を減らしていく効果があります。

大村:
最近は西洋医学でも漢方薬を用いることがふえていませんか。

中山:
明らかに必要な人には処方します。使うのはオールマイティーな
当帰芍薬散が多いです。PCO(多嚢胞性卵巣症候群)の場合
LH(黄体形成ホルモン)を下げるために芍薬甘草湯を用いるのですが、
男性ホルモンを下げる働きもします。
私たちの場合は男性ホルモンが高いから下げよう、
黄体形成ホルモンが高いから下げようといった西洋医学的な
使い方をしますね。

大村:
それはそれでありですよね。
それに東洋医学的な見方が加わればいいと思います。

中山:
身体を整えるには漢方や鍼灸の力を借りるのも必要だと思います。

・・・とこんな感じて3人のトークは終了しました。
今回は話が盛り上がったこともあり、「ふっくらNo.9」で
話の続きをお届けすることになりました。
次号の内容は、「ストレスを緩和できる漢方治療」の話になると思います。
年に1回くらいのペースで発行されておりましたが、
次号は年内で12月くらいにはみなさんにご紹介できることになっています。
ちなみに、「ふっくら」シリーズは、足立病院生殖内分泌医療センターの
受付の前の棚に置かれています。
良かったら手に取ってみてください。
または、当院のホームページの左下に今までの「ふっくら」シリーズを
PDFファイルにして、見て戴けるようにしております。
では、次号をお楽しみに~。

Omura