前回の話では今周期は採卵予定でした。
クロミッド2錠を5日間処方され月経が始まって
11日目で卵胞チェックをしたのですが・・・。
で話が終わっていましたね。
今回はその続きです。

鍼灸治療は7回目の頃です。
この周期はクロミッド2錠を処方されましたが
出てきた卵胞は1個だけでした。
おかしいなぁ~とY さんは思っていたそうです。
いつもはクロミッド2錠を処方されると3~4 個の卵胞が出てくるのですが、
たった1個しか卵胞は育たなかったのです。

Y さんはちょっと不安になったかもしれませんね。
せっかく体質改善のために鍼灸治療を始めたのに、
出てくる卵胞の数が減るなんて・・・と思ったことでしょう。

僕はY さんに説明しました。
人間にはバイオリズムがあるから、体調のいいとき悪い時があります。
卵巣の働きもいいとき悪い時があります。
ずっとクロミッドで強制的に卵巣を働かせて息切れ状態で出てきた卵胞は
受精したときに質のいい受精卵になっていないことが多いと思います。
本来なら薬を使わないで自然に選ばれた主席卵胞が1個出てくるはずなのに。
「お願い、卵巣がちょっと休ませてください」と
悲鳴を上げていると思いますよって説明しました。

実際、Y さんの今までの経過で、採卵して受精させたら
受精卵が黒く濁って死んでしまっていたからです。
何回やっても同じような結果でした。
黒く濁って分割がすぐに止まってしまう受精卵を
移植するわけにもいきませんからね。

初診で来られて治療も48回目になっていました。
Y さんは途中で心折れそうに時もいっぱいありました。
でも、可能性を信じて僕ももう少し頑張って、移植できるグレードの
卵胞が育つようになったら妊娠の可能性があるからと励ましました。

この時2個採卵して、1個受精しました。YさんD3
その時の卵胞は写真に出ているものです。
写真はY さんに許可を得て撮影させてもらいました。
何と受精卵は黒く濁っていません。
1年半ぶりの胚移植でした。
3日目の新鮮胚を移植して妊娠されました。
6月にはママになる予定です。

Y さんは時間がかかりましたが、根気強くあきらめずに
がんばったからいい結果が出せたと思います。
不妊治療されている全員がいい結果を出せるわけではないのですが、
何もしないよりはできる範囲で体質を改善することは
妊娠への一つの道しるべだと信じています。

Omura