本気で不妊治療に挑むことになったのは、
義父の病気が発覚し、余命宣告を受けたことが
きっかけでした。

「孫ができれば、元気になるはず。
命をつなぎとめられるはず」と信じ、
40歳の夏から、人工授精を半年間実施。

ヒットの兆しはなく、
「最終手段を使えば、確実に妊娠するだろう」と、
体外受精へ。

成長著しかかった卵を移植するも、
まさかの陰性判定。

その後内視鏡検査を受けたのですが、
またもや異常は見つからず、
「運が悪かっただけ。次は必ず」と
凍結胚を移植。やはり着床はせず。

その次に挑んだ移植で、
初めての陽性判定に浮足立つも、
1か月もたたないうちに流産。
しかしこの妊娠も、
「着床しないわけじゃない。
この調子でいけば、すぐ妊娠できる!」と、
私をまたもや油断させるきっかけになりました。

その後破竹の勢いで、採卵、胚移植を
繰り返していきましたが、
その本気も虚しく義父は他界。
亡くなった当日、父の冷たい手を握りながら、
「孫が見せられなくて、ごめん。本当にごめん」と、
人目も憚らず泣きわめきました。
それからは、「父の命と引き換えに、
新しい命がきっと訪れるはず」の信念のもとに、
断続的に体外受精に挑み続けていきました。

私は、よく言えばプラス思考、
悪く言えば呑気な性格で、
病院に言われるがままに、
何の疑いも持たず治療を続けてきました。

同じ治療を何度も何度も繰り返した
挙句の結果は、いつも陰性。
ハッと気づいたときには、
40代半ばに差し掛かっていました。
「これはさすがにマズイ」―そう思い始めたころ、
病院の待合室で
烏丸御池鍼灸院・無料カウンセリングの
チラシを見つけたのです。

to be continued
Omura