初診のとき、大村院長から言われたのは、
「冷え性だね」。

それまでずっと、「自分の身体は熱い」と
思い続けてきただけに、その言葉には
相当驚かされました。
また、病院で示される治療以外の
選択肢もある、という知恵をたくさん
授けていただけたおかげで、
違うやり方を病院に提言してみる場面も
増えていきました。

加えて、それまで服用していた
高額な漢方薬を見直すきっかけも与えられ、
高尾病院で保険適用内の漢方薬を
処方していただくようにもなりました。

大村先生を「太陽」と例えるなら、
他の先生方は「月」。
大村先生からは、明るく力強い言葉で
勇気づけられ、スタッフの先生方からは、
優しく穏やかに包み込まれ。

そのバランスが絶妙で心地よく、
治療を受けて帰宅すると、決まって夫から
「顔がすっきりしている」と言われていたものです。

いつしか、妊娠したいという目的さえも忘れ、
「心地いいから通う」になっていました。

ただ、ときが経つにつれ、年齢的な限界が
訪れつつあるためか、卵の数も質も明らかに
低下していき、採卵をしても、
移植できない周期が続くようになっていきました。

とうとう実母からは、
「不妊治療はもうやめろ。元気な子を産み、
育てられる体力はもう残されていない」の
最後通告が。

同じころ見た占いに、
「治療を休むのも選択肢の一つ」と
あったことにも背中を押され、思い切って
体外受精を休んでみることにしました。

そしてあろうことか、いったん休止を決めた
その周期に、まさかの「タイミング」で
自然妊娠するに至ったのです。
年齢は、45歳になって半年以上が
過ぎたころでした。

次はMさんの手記、最終回です。

to be continued
Omura