振り返れば、体外受精を繰り返していた
時期の自分には、何らかの“欲”がありました。

「父に孫を見せたい」
「過酷な仕事にインターバルを置きたい」
「子供を持つ友人に追いつきたい」。

ですが、数えきれないほどの失敗を繰り返し、
もう駄目だと打ちのめされた挙句に、
とうとう欲から解き放たれ、
「夫婦二人の人生も、楽しいに違いない」
「生涯仕事に生きるのも悪くない」
「不妊治療がすべてじゃない」

そう心が軽やかになった瞬間に、
子供を授かったのです。

「子供は人工的な力や自己欲でで
きるものではない。自然から与えられるもの」
ということを、身にしみて悟った
瞬間でもありました。

この意味で鍼灸治療も、
「身体が本来持つ自然な力を引き出す」
という結果を引き出してくれたのではないかと
思っています。

大村先生が、胚盤胞移植しか
経験していない私に初期胚移植を
勧めてくださった際、
「シャーレで卵を育てるよりも、
お腹の中で育てた方がいいに決まってる」
と話されたことを覚えているのですが、
それもまさに「自然の力を信じる」
ということだったのだ、
と思わずにはいられません。

烏丸御池鍼灸院の初診日は、
2015年10月28日の結婚記念日でした
。妊娠15週で最後の鍼治療を受けたのは、
ちょうど1年後の10月28日。
結婚10周年の記念すべき日が、
不妊治療の卒業記念日にもなりました。

治療期間6年間。
うち、人工授精11回、採卵25回、
胚移植13回で移植した卵の数は計16個。
相当な時間とお金をつぎ込んで
人為的な治療に挑み続けた結果、
45歳という年齢で自然妊娠したという
事例のご紹介でした。

思いがけず長文となりましたが、
ここまでお付き合いいただき、
本当にありがとうございました。

私と同じように、出口が見えないまま、
成り行きまかせで時間とお金を
費やし続けている方の参考に少しでもなれば…と、
文を綴らせていただきました。

烏丸御池鍼灸院の先生方に出会えたおかげで、
やっと大切な命に出会えました。
元気な子供が誕生した暁には、
喜び勇んでご報告させていただきます。

お世話になり、本当にありがとうございました。

2016年10月

Mより

Mさんの手記はこれで終わりです。
では、Mさんが46歳と6ヵ月で自然妊娠できたのは、
妊娠体質改善をしたからだと思っております。

次回は、Mさんにどのような治療をしてきたかなど、
当院の治療の過程をご紹介しましょう。

Omura