「隣の家族は青く見える」第4話
まだまだある、
不妊治療に対する世間の偏見が
クローズアップされた、
第4話
奈々は家族の反対を押し切ってまで
人工授精にステップアップするか
どうか悩んでいました。
奈々の気持ちは、人工授精しても
かまわない。妊娠できるならば。
だけど、奈々の母、春枝(原日出子)は
人工授精に反対なのです。
奈々と春枝の会話を見ていて、
私も同じような経験があって、
その気持ちわかるなぁ~、
・・・と苦い思いをした方も多い
でしょう。
奈々
「どうして? 不妊治療の
なにがそんなにダメなの?」
春枝
「こどもは自然に任せるのが
良いに決まっているからよ。」
「それに、人工授精がダメだったら
次は体外受精でしょう?」
「うちの子は体外受精で産まれ
ましたって人に言える?」
奈々
「言えるよ。なんで?
なにがそんなにいけないの?」
春枝
「体外受精のこどもが
いじめられたら後悔しないの?」
奈々
「そんなのいじめる方が
どうかしてるよ。ただの偏見じゃない。」
春枝
「偏見があるのが世の中って
もんなの!」
春枝は子供を産み育てるだけが、
その人の人生ではないと思っている
ようでした。
それは、たぶん自分が若いころから
専業主婦で子供を育ててきたから。
もしかしたら、好きな仕事を一生懸命
やりながら、子育てできれば良かった
かもしれないと思っていたのでしょう。
夫の大器も人工授精には反対。
とにかく、「人工」という言葉に抵抗が
あるようです。
そもそも、
人工授精という日本語訳が
誤解を招いているように思います。
何か、名前を変えた方が、
受け入れられやすくなるのではと
思うのです。
当院に来られる患者さんで、奈々と大器の
ような状況の方も多くおられます。
とにかく、男性側が「人工」という言葉に
敏感で抵抗がある人が多いです。
男性側の問題で、精子の状態が悪く、
人工授精もしくは体外受精をしなくては
ならないほどの方でも、ステップアップに
二の足を踏むご主人もおられます。
わかりやすく例えれば、
精子の運動率が30%以下だと自然妊娠は
難しい傾向にあります。
せめて40%~60%あるといいのですが。
精子の運動率が30%以下でも奥様が
自然に妊娠された方もおられますが、
男性の精子の運動率は良いときと
悪いときとの差がある人もおられます。
たぶん、自然に妊娠されたときは、
精子の状態が良かったのでしょう。
人工授精の妊娠率はおよそ10%以下くらい
です。
男性も女性も年齢が増すほど、
人工授精の妊娠率は下がっていきます。
だけど、当院で鍼灸治療をされている
患者さんで、体外受精ばかり2年~3年も
していて、一度も妊娠しなかったのに、
タイミング療法や人工授精に
ステップ・ダウンして妊娠される方も
以外に多いですよ。
先日も当院に治療に来られている
38歳の患者さんが、人工授精に
ステップ・ダウンして妊娠されました。
体外受精でショート法をしても
10個の採卵で1個しか胚盤胞にしか
ならないタイプの方です。
数回、ショート法をされましたが、
採卵しても受精卵がゼロというときも
ありました。
だけど、鍼灸治療でカラダを
妊娠体質にするメンテナンスをして、
人工授精で初めて妊娠されたのです。
ドラマのラストのシーンで、
不妊治療に対する無知を自覚した
大器が、徹夜してインターネットで
人工授精や体外受精について調べた。
それをコピーして帰宅の途につく
春枝を追いかけ、間一髪のところで
呼び止めて義母の春枝に渡す。
「僕も不妊治療のことについて
無知でしたが調べました。」
「どうか、お義母さんもこれを見て、
不妊治療のことについてわかって
いただければ・・・」
みたいな感じでした。
このシーンをご夫婦で一緒に見ていた
患者さんのお話ですが、
このシーンの時に、主人の横顔チラッと
みると、うるうるしていたらしいです。
まっ、ドラマですら。
ちょっとは感動的でないとね。
でも、夫婦でお互いを労わり合う
奈々と大器。
不妊治療をされている人も、
されていない人にも、
不妊治療のことについて知って
いただける機会になっているのではと
思うのです。
Omura