不育症にについて
東洋医学的な見方

前回、不育症の原因を西洋医学的な
観点から簡単に説明しましたが、
今回は東洋医学的な視点でお話しましょう。

ストレスも不育症の原因のひとつ
上げられますが、
ストレスを東洋医学的に言うと、
根本的には気が滞る。

気滞(きたい)で気が滞ることに
よって、カラダのエネルギーのもとである
「気」巡らない。
それによって、カラダを栄養する「血」も
巡りが悪くなって滞る。

子宮や卵巣にきれいな血が巡らない。
きれいな質の良い子宮内膜や質の良い
卵子が育ちにくくなる。

ホルモン分泌を促す脳の視床下部にも
影響して女性ホルモンの分泌を促す
指令がうまく届かない。

気の滞りによって、自律神経が乱れ、
女性ホルモンの分泌が必要な時に
必要なホルモンが分泌されにくくなる。

自律神経の乱れで交感神経優位になると、
血管が硬くなり全身の血流が滞って、
五臓六腑に血液が巡らないので、
いろんなカラダの不調が出てきます。

東洋医学では、五臓六腑はすべて
つながっていて、ひとつの臓や腑が悪くなると
関連性の高い臓や腑が悪影響を受けて、
悪くなるのです。

例えばストレスで肝臓が悪くなると、
関連性の高い胃が悪影響を受けます。
だから、ストレスからくる胃炎や
胃潰瘍になるのです。

そして、どんどんと悪影響が進むと、
肺臓、腎臓、心臓に影響が及びます。
臓腑の腑は、胆のう、小腸、大腸、膀胱
などを指します。
胃の調子が悪くなると、胃腸が悪くなって・・・
なんて言いませんか。
これも関連しているからなのです。

子宮も臓腑の腑と言われています。

血液の巡りが停滞すると、血の質が悪くなり、
瘀血(おけつ)ができてしまうと、どんどんと
血液の質が悪くなる。

気が滞ることによって、カラダにいろんな
悪影響が出ます。

気滞の症状が進むと、イライラや怒りの
感情で気が上り過ぎると、カラダが
火照ったりして寝つきが悪くなり、
不眠症にもなりかねません。

気が上り過ぎると、上半身は火照っている
けれど、下半身は冷える。
冷えのぼせの症状で、妊娠しづらい
カラダの状態になってしまうのです。

東洋医学の四字熟語でいうと、
肝火上炎(かんかじょうえん)とか、
肝気鬱結(かんきうつけつ)とかみたいな
表現をします。
何となく、カラダの状態が悪いような
感じがしませんか?

気逆(きぎゃく)、陰虚火旺(いんきょかおう)
などもあります。
本当はもっと四字熟語の症状は多いのですが、
簡単に例をあげておくだけにします。
東洋医学的に見ても、不育症になる原因は
いろいろあるんだなぁ~と思っていただければ
良いと思います。

鍼灸や漢方はストレスフルなカラダの状態を
健康な状態にリセットしてくれる、
ひとつの方法だと思います。

それに、鍼灸治療をしているときに、
患者さんとお話しする時間がしっかり
あるということ。

病院では聞けないような、いろんな問題を
聞かれることがあります。
できる範囲ではありますが、
心が穏やかになって前向きになれるように
一緒に話ができるというのは、
いいことだと思っています。

さて、Hさんが44歳で初産されたお話の
道筋が少しそれてしまいましたが、
次回はHさんが不妊治療をのり越えられた
エピソードの最終回です。

Omura