前回のお話は、Kさん(当時43歳)のFSHの数値が7.1まで下がり、
排卵誘発剤を出されないで卵胞が出てくるかを見てみるということでした。
生理から14日目の診察で卵胞は出てきていませんでした。

普通ならここでリセット。ブラのバールやブレマリン&ルトラールなどを
処方されて卵巣を休ませましょうと言われることが多いでしょう。

Kさんには、もしリセットの話が出ても、もう少し様子をみたいとドクターに
お願いするようにアドバイスしました。

16日目の診察で11ミリの卵胞が出てきました。E2は42。少ないですね。
そこで、セキソビットを7日間処方され、24日目の診察で
卵胞は13.6mmまで成長していました。
・・・が、E2は29と下がっていました。
結局、遅ればせながら卵胞は出てきたものの、しぼんで消失してしまいました。
卵胞自体に力が無かったと言えるでしょう。

ただ、生理から14日目の診察でリセットせずに、
様子をみたら卵胞が出てくるということもあるので、少し様子をうかがうのも
採卵するうえで患者さんサイドの一つの選択肢になると思います。
もしかしたら、早めにリセットしてしまって、採卵できる卵胞を
見逃してしまっているということになってしまっていることも
考えられますからね。

Kさんは体に良いことを何かしてる・・・と聞いたら、不妊治療や
何やかんやで忙しくて体に良い運動などはされていませんでした。
そこで、ヨガなんてどうかな・・・とお奨めしました。
ヨガだとチケット制のところも多いし、基本を覚えると自分で
復習できるからね。
私もヨガをやっていた時がありますので、思った以上に汗をかきますし、
代謝があがります。

それからKさんはヨガを始められることになりました。
最終的に彼女が妊娠に至ったのは、自分でできる何かを始めたのも
一つの要因だと思っています。
もちろん、鍼灸治療に来ていただいたのが一番良かったとは
思っていますけどね。

さて、プレマリンとルトラールを10日間服用後、生理が来て
13日目で診察。まだ卵胞は見えません。
ですが、hmg75を注射されました。

20日目の診察。卵胞は見られませんでした。
卵胞はなかなか出てこないけれど、辛抱強くKさんは鍼灸治療に
月に2回~3回のペースで来ていただいていました。

結局、また卵胞は見えずリセットのためプラノバールを10日
処方されました。
薬の副作用もあるでしょうが、鍼灸治療にも来ているのに
なかなか卵胞が育ってこないストレスもあって、Kさんは胸やけを
訴えるようになってきました。
胸やけが出るようになってから、Kさんの舌の色は赤っぽくそして
舌の表面の苔の色はバターを舌の上にぬったように黄色が濃くなってきました。

明らかにストレス。肝気鬱結(かんきうつけつ)の症状。
それに、ストレスで犯された肝の邪気が脾を攻撃して、胃に熱が溜まり調子が
悪くなってひどい口臭をが出るようになってきました。
消化吸収能力が落ちて胃に溜まった熱と結びついて口臭が出ているのです。

本人は自分の口臭がきついとは感じていなかったようですが、
きっと朝目覚めたときに口の中が甘ったるいような苦いような感覚が
あると思います。

先ずは、肝気鬱結(かんきうつけつ)の症状を改善させないことには、
卵胞も育ってきません。
てすから、遠まわりなようですが体調を整えることを優先にしました。

東洋医学では病気そのものの根本的な原因に対処することを
本治(ほんち)と言います。
そしてその原因によって生じる症状を治療することを
標治(ひょうち)と言います。
ですから、Kさんの場合、胸やけがして胃の調子が悪くなっているのが
で、その胃の調子が悪くなる根本的な原因はストレスによる
肝の気が病んでいる原因がです。
先ずは症状が出ている胃の不調で出てくる口臭の治療を優先しながら、
肝の気を静めて穏やかな精神状態になるように治療するわけです。

こんな症状の時、公孫(こうそん)というツボを使うことが多いです。
ツボの詳しい話は次回ご紹介しましょう。

ちょっとややこしかったかな・・・?

to be continued
Omura