7年間の不妊治療を乗り越えて妊娠・出産

 

Nさん(当時39歳)が当院に来られたのは2011年の8月の末でした。
インターネットで当院のブログをみられたようで、
望みを託して来られました。

問診でNさんの今までの治療経過をお聞きすると・・・
・タイミング療法を5回
・人工授精を12回
・体外受精(顕微授精)で胚移植を10回以上
されていました。
新鮮胚移植が6回で、凍結胚移植が4回ほどだそうです。

2010年に顕微授精で妊娠されましたが、妊娠8週5日目で
胎児の心拍が停止、流産されました。
この時点で、不育症検査はされていなかったようです。

流産の原因が染色体異常なのか不育症で血栓ができてしまったのか、
受精卵自体の力が無かったのかはわかりません。

当院に来られるまでの1年間は他の鍼灸院で1年ほど治療されていました。
気分を変えることと、ブログで受精卵の質が鍼灸で向上された話をみられ、
鍼灸院を変えられたようです。

Kさんいわく不妊のおもな原因は
「卵胞が育ちにくい」「受精卵のグレードが悪い」ということでした。
受精卵のグレードが悪いので胚盤胞移植はできず、
新鮮胚も凍結も2日目が3日目の移植に限定されていました。

生理周期は38日くらい。
基礎体温表は心電図のような波形で、どこが低温期で、高温期なのか
わかりづらい波形でした。
生理周期はちょっと長いですね。採卵まで19日以上かかる計算になります。

舌の状態は・・・ん~かなり悪かったです。
舌の表面の全体的な色は赤黒く、舌先が特に紅い。
舌の表面は裂紋(れつもん)と言って、割れたようにひびが入っていました。
舌の大きさは標準より小さく、精気のパワーがありませんでした。
舌の横は歯痕(しこん)といって、歯の跡がくっきりついていました。
舌の裏は紅く舌の裏にある舌下静脈がどす黒く紫色で怒張していました。
舌の状態はその人の体の状態を見るバロメータです。
詳しくは次回ご紹介しましょう。

要するに、かなり状態が悪いということです。
この状態ではまず質の良い卵胞も育たないし、妊娠しても妊娠を持続させるのは
難しいのではと思いました。

Nさんのストレスはかなりキツイのでは、・・・という私の診断でしたが、
問診票にNさんが記入されたのはストレス度が1でした。

当院の問診票の中に不妊治療のストレスは1~10でどれくらいですか?
という項目がありますが、ストレス最大を10とした場合を記入して頂いています。

長年、不妊治療の現場でたくさん患者さんを治療させていただきましたが、
問診の時に「不妊治療のストレスはそんなに無いです・・・」と言われる
患者さんの多くは、ストレス度8~10くらいは感じておられる
傾向にあります。

治療に何回か来られるようになって、
「本当はストレスいっぱいだったんです。でも、初めて来たときは緊張するし、
自分が不妊治療のストレスでいっぱいいっぱいだとは、言いにくかったんです」
とお話して下さる方も多いです。

Nさんの治療にはかなり時間がかかりました。
当院での妊娠された方の治療期間の平均は約6か月間。
Nは妊娠までに3年かかりました。
それでもあきらめずに治療を続けられたNさんの壮絶なサクセスストーリーを
次回からご紹介することにしましょう。

Omura