「鍼は痛くないもんなんだよ・・・」
「どちらかと言えば、気持ちのいいものだけど・・・」

今回はMさん(28歳)のお話です。
Mさんは、当院のホームページをご覧になって来て
下さいました。
去年、2015年12月のことです。

問診票に記入いただいた項目で気にかかることがありました。

1.月経周期が22日~24日と短いこと。
気のパワー不足だったり、ストレスでホルモンバランスが崩れ
月経周期が28日よりも短くなる傾向にあります。
ただ、月経周期が規則正しく28日で回っているのに、
なかなか妊娠しないという方は多いです。

・・・と言うのも、低温期が10日間くらいで、高温期が18日くらいの
人もいれば、排卵するまでの低温期が18日くらいあって、
高温期が短くて10日間の人もいるからです。
月経周期が28日だからと言って、低温期と高温期のバランスが悪いと、
妊娠しづらい傾向にあります。

当院では、月経周期のバランスを整える治療をいたします。
2~3ヵ月もすれば、ガタガタだった基礎体温表は緩やかな波形を
作るようになります。
低温期が短い人は12日~14日で排卵するようになっていきます。

2.不妊治療のストレスは1~10段階で、MAXの10でした。
Mさんはかなりストレスを感じているようですね。
このように今の自分の気持ちを正直に書いてくださると、
問診をしていても患者さんとお話しやすいです。

Mさんの不妊治療歴はDクリニックでショート法で体外受精するも、
マイナス判定。転院してTクリニックで採卵し、胚盤胞の凍結を1つ
しているようでした。
ただ、Tクリニックには先生が少なく、なかなかじっくりと診察が
できなかったようで、Gクリニックに転院。

今までに胚移植は3回ほどされたようで、すべてマイナス判定。
胚盤胞の受精卵を移植したにもかかわらず・・・。

Mさんの年齢なら、胚盤胞で胚移植できているなら、
とっくに妊娠されていてもおかしくないと思いました。
ただ、Mさんの不妊治療のストレスはかなりだったと思うので、
着床できなかったのは、それも大きな原因なのではと思います。

3.股関節の歪みがきつく、右足の親指の長さは左足の親指より、
2センチも短くなっていました。
右の骨盤が後ろに上がってしまっていて、骨盤が正しい位置にないため、
腹腔内の血行が悪くなり子宮の中が冷えている状態でした。

いくらグレードの良い受精卵があっても、子宮の中が冷えていていると
着床しないことがあります。
冷たいごつごつしたベッドより、温かくてふかふかのベッドの方が
良いですよね。

Mさんは鍼灸治療の経験があるようでしたので、
差支えなかったら、どれくらいの期間、どこの治療所で鍼灸治療を
していたか教えて頂けますか・・・と聞きました。

Mさん:「〇〇鍼灸院に1年半くらい、週に2回行ってました」
大村 :「週に2回も大変だったね。当院なら、週1回とか、
月に3回くらいだけど・・・
「・・・で、基礎体温表がきれいになるとか、生理周期が整うとか、
生理痛が少なくなるとか、月経血がきれいな赤色になっていくとか・・・
何かしらの変化はありましたか?」と聞きました。

Mさん:「良くわかりません。特に変わったとは思えません」
大村 :「何かしら体調が良くなるとかの変化があるんだけどね」
「・・・で、もしかして鍼するとき痛くなかったかな?」

・・・と聞いたら、Mさんはポロポロと涙を流してしまいました。
大村 :「余計なこと聞いたかな?」
Mさん:「いいえ、違うんです。ちょっと思い出してしまって・・・」
「結構、鍼をするときに痛かったので、我慢していたんです」

大村 :「鍼をするときに痛い経験をして我慢してたのに、
よく当院に行ってみようかなと思いましたね」
「普通だったら、もう鍼治療はこりごりで、別の鍼灸院に電話なんて
しないと思いけど・・・」
「よく来てくださいましたね」

Mさん:「何かインスピレーションがあったんです」
大村 :「ビビッ・・!!っとかいうやつ?」
Mさん:「本当にそうなんです」
大村 :「それは、ありがとう」

・・・さて、そろそろ治療を始めましょうか・・・と言って、
滅菌パックのされている袋から治療用の鍼を取り出して説明をしました。
どのようなものかをMさんに見ていただいて、鍼を1本、三陰交に
することにしました。

大村 :「痛くない鍼治療を売りにして、
20年以上やってるから・・・」
「どちらかというと、鍼をしている間、血行が良くなって
カラダが軽くなる感じがしますよ・・・」
「初診だから緊張してわからないかもしれないけど・・・」

「ホームページにも鍼は痛くないですよ・・・
と書いてあったと思うけど・・・では、鍼をしますね」

・・・そして三陰交に鍼をしたら、Mさんは・・・

to be continued
Omura