舌の状態を診断するって・・・
今回は当院のベテラン女性鍼灸師。太田先生にブログを書いて
もらいました。前回は山崎先生でしたね。
次は、安田先生のブログも公開していきますのでこうご期待!!
(Omura)
先日、当院に来院されている患者さんが治療後に
「先生、舌の苔(コケ)はとるものではないのですか?」と聞かれました。
舌苔(舌の苔)が口臭の原因になるという考え
(口腔歯科の観点からではそういう考えはあります)や
美容上の問題から、舌の苔を掃除する道具も販売されています。
鍼灸治療や漢方治療を受けたことがない方は、普段舌の苔を意識される
ことはほとんどないと思いますが、当院では治療を始める前に
「舌を見せてください」と言います。
舌を見られるなんて、なんだか恥ずかしいと思われるのか、
最初とまどいをみせられる患者さんもいらっしゃいます。
女性としてわかる気もいたします。普段、人に舌を見せることなどありませんものね。
東洋医学では体の健康状態を舌から診断する” 舌診 ”(ゼッシン)があります。
舌診には大きく三つのポイントがあります。
舌の色、舌の苔、舌の形(大きさなど)です。
今回は舌の苔についてお話したいと思います。
舌の苔は正常な場合、白い苔が全体に均一にうっすらとついています。
ところが、なんだか苔が白くなく、少し黄色っぽいという時は、
食べ過ぎや消化不良や胃炎などで、胃に熱がある状態が推測されます。
右の写真は全体的に舌の色が紅くなって、苔の色は黄色っぽくなっています。
舌の先が紅くなっているのは、日ごろからストレスが多い状態が続いていることが
伺えます。慢性的なストレスで胃に熱がこもってしまい、舌の色が黄色っぽく
なってしまっています。こういう時は、先ず心をリラックスさせるツボで治療し、
ストレスを軽減することから治療がはじまります。
それに舌の真ん中がひび割れているのがわかりますか?
これは胃にこもった熱が体の体液を奪い、体液が十分に体に行きわたっていなくて、
潤いが少なくなってしまい肌が乾燥ぎみな傾向にあります。
潤いが少ないということは、子宮の中や卵子の潤いにも関係してくると思われます。
また白い苔がうっすらではなくぶ厚くなっているという時は、余分な水分が
体(特に胃)に停滞していて体に冷えをもたらしている状態と考えられます。
舌の苔がまったくないという状態も体の状態がよいとは言えません。
無苔(むたい)というのですが、一言で表現しますと元気不足。
慢性的な疲れや、栄養が足りてないことも疑われます。
ではどういう舌が健康なのか、一目でわかるのが病気ではない
健康な子供さんの舌です。やわらかいピンク色で、白い苔が均一にうっすら
あると思います。
今回は、舌の苔についておおまかにお話させていただきました。
最初の、患者さんの「舌の苔はとるものではないのですか?」という
質問についての答えは、「舌の苔はあるのが正常な状態ですので、
人為的にとってしまわれない方がいいですよ」ということになります。
舌の苔に、もしご興味をもたれた方がいらっしゃいましたら、
普段からご自分の舌の状態を鏡でみられてもよいかもしれません。
その日の体の状態によって、舌の苔も変化していることが感じられる
のではないかと思います。
不妊治療を専門に治療をさせて戴いておりますが、2~3ヵ月の治療で、
患者さんの舌の状態は良くなっていきます。
自分の目で見て、舌の色や苔の状態が変化するのがわかると、
「妊娠体質になってきている」と実感できると思いますよ。
太田