Posts By: yamo


2013年2月6日 blog 0

何が起こるかわからへんNo.9-③ Kさんからのメール

ダナゾールは子宮内膜症の治療に使われるお薬です。 女性ホルモンの卵胞刺激ホルモン(FSH)、卵胞ホルモン(E2)、 黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑え、人為的に閉経の状態を作ります。 偽閉経状態にして子宮内膜が広がらないようにします。 ダナゾールを100mg×4T(分2)を10週間服用し、その翌日にリュープリン1.88を投与し、 ウルトラロング法に準じた卵巣刺激を行う方法にチャレンジされました。 ・・・が卵胞は2個しか出できませんでした。 1つは未熟で受精せず。1つは3日目の凍結になりましたが、 グレードが悪いので、再度採卵しなければいけなくなりました。 K さんはこの結果にガックリでした。薬の副作用を我慢しながら ウルトラロング法にチャレンジしたのに・・・。 薬の副作用で気分がすぐれないときがあったので、 鍼灸と整体で吐き気や気だるさ、肩こりなどは随分と軽減できていました。 しかし、舌と脈の状態はかなりのストレスを感じているようでした。 舌の色は赤くなり過ぎて、脈は固い感じです。 東洋医学的に言うと脈は「弦」(げん)という症状です。 当院のホームページで「あなたはどのタイプ?」という項目がありますが、 肝気鬱結(かんきうつけつ)という症状です。 ストレスで自律神経のコントロールが利かなくなり、 女性ホルモンの分泌が乱れます。血行は悪くなり肩こりや下半身の冷えがきつく なったりします。特にK さんは腰痛もあり、下半身のむくみが顕著でした。 K さんに話を聞いたら、女性上司のパワハラが続いていて、 毎日ストレスでイライラした生活をされていたようでした。 そこで、腰痛、肩こり、むくみはもちろんですが、気持ちをリラックスさせる 鍼灸治療を中心に治療を進めることにしました。 体調も良くなった頃、クロミッドを一日に2錠服用を5日間。 自然周期の採卵をすることになりました。 当院に来られてから7か月目のことです。 採卵の周期はスーパーライザーも併用し、 卵胞は6つでき、5つ採卵。そのうち3つが受精し、 結局残ったのは1つ。3日目で凍結を薦めました。 それは、胚盤胞まで培養すると分割停止する恐れがあるからです。 胚盤胞移植にこだわらなくても、3日目の凍結胚移植で 妊娠されるケースも結構多いですよ。 一つしか残らなかった3日目凍結の受精卵ですが、 今までのグレードに比べると 良くなっていました。 今までがグレード3~4だとしたら、グレード2くらいです。 すごくいいね!!とは言えないものの、まあまあだねという評価です。 花粉症の季節に入り目がかゆく鼻水、鼻づまりの症状がとてもきつかったので、 2か月ほど花粉症の治療もしながら体調が回復するのを待って 人工周期で凍結胚移植。 子宮内膜は移植直前で7.4mmと薄かったのですが、 何とか8mm弱で移植することができました。 移植の当日、移植後にも鍼灸治療に来ていただき、 初めての妊娠判定プラスでした。 プラス判定後も花粉症の症状を緩和するために 引き続き鍼灸の治療に来られました。 治療期間中、 K さんに良くお話ししたのは、 卵胞は数じゃなくて質が問題。すごく良くなくても、 まあまあかな・・・というレベルでも妊娠できるから・・・と良く お話ししたものです。 採卵できる卵胞の数が少ないからといって、悲観しないでください。 身体を妊娠体質にして、以前よりも良くなっていれば 妊娠の可能性は広がりますよ。 Omura


2013年2月3日 blog 0

FSH と AMH 1

『卵巣年齢が高いとドクター言われました。
私、妊娠できるでしょうか?』

初診でこう切り出した患者のDさん38歳。
聞けば、ドクターから指摘された数値は、FSH≒12。
焦りと不安が入り混じり、数値のことでストレス一杯、
そんな第一印象でした。

『病院によってもFSHの基準値は多少違うし、
生理周期によっても変動します。
なにより、もっと高い数値で妊娠した方も大勢おられます。
12 という数値は、決して、気になさるような数値ではありませんよ。』
そうお答えしました。

さて、FSHとは卵胞刺激ホルモンの事で、
不妊治療の現場でよく耳にしますよね。
何を見ているのかを簡単に言いますと、
その多くは、生理中又は卵胞期のFSHを測る事によって、
「その周期の卵巣疲労度を知ること」。
数値が高いほど、卵巣が疲労している事になります。
つまり、数値が高いほど、卵胞が育ちにくい傾向になります。
これが下がらず高値が続くと、閉経が近づいていることもありますので、
数値を気になさる方も多いと思います。

病院では、その数値によって、
「今周期、卵胞が出てきそうか?」
「出てきそうなら、どれ位の刺激量で排卵誘発するか?」
「卵巣を休めるためにホルモン剤で高温期を作り、
リセットした方が良いか?」
等々
治療方針を決める判断材料にしています。
ただし、その基準も病院によっても様々、
ドクターによっても様々、
つまり、極めて幅のある数値と言ってよいでしょう。

もう一つ、FSHは、一般的に変動しやすい数値です。
数値が高い=卵巣年齢が高い とは必ずしも言えないのです。
一時的に、その周期(採血した周期)の卵巣が疲労しているのは確かですが、
この数値だけで、必ずしも卵巣年齢を反映している訳ではありません。
ストレス等が原因で、一時的に数値が上がる場合もあり、
その後、数値が回復する例も多くあります。

実際、不妊専門病院では、FSHが20あるいは30を超えると、
ホルモン剤でリセットするのが一般的です。
しかし、薬剤を使っても数値が下がらなかったり、
卵胞がなかなか育たなかったりすることも多いです。

そんな時には、鍼灸・整体をうまく併用なさると良いでしょう。
当院では、リセット中の患者さんに、鍼灸・整体をさせて頂くと、
自然に数値が下がりやすくなって、
その後、正常に卵胞が育つ方も多いです。
もし、FSHがかなりの高値であっても、
ご自身の卵巣力をアップすることで
自然に卵胞が育ち、
採卵、受精卵凍結、胚移植に至った例を
当院では沢山見てきました。

長くなりましたので、次回はいくつかの例を挙げてみますね。

タウチ


2013年2月2日 blog 0

何が起こるかわからへん9-② kさんからのメール

前回はK さんの出産の報告のメールをご紹介しました。
彼女は卵胞の質が悪く、ショート法で刺激をしても
3個くらいしか出てこず、受精はしても移植できない状態でした。

子宮内膜症に、左右の卵巣嚢腫があり、AMH検査は旧基準で10.8pmol/Lと低かったのです。
評価は低レベルで42-43歳くらいの卵巣年齢になっていました。
AMH検査とは、抗ミューラー管ホルモン検査のことで、
卵巣年齢を知る検査のひとつです。

当院に来られる前の病院での結果は次の通りでした。
体外受精ショート法で3つ採卵、3つ受精、4日目で分割停止。
2か月後にクロミッドとhMG注射で3つ採卵、
3つ受精、4日目と5日目で分割停止。

もうどうしたらいいかわからなくなっていた時に
当院のホームページを見られたそうです。
ブログの「スローでええやん!!」は、不妊治療をされていて、
どんなことをしてもなかなか妊娠できず、気持ちは焦ってしまい、
強迫観念に駆られて自分を見失ってしまっている人が多いように思っていたので、
ちょっと気持ちをリセットできるような、ちょっとお得情報があって、
「へぇ~」とか「な~るほど」と思っていただけるようなブログにしたかったので、
タイトルを「スローでええやん!!」にしたんですよ。

身体のメンテナスもできないまま、
毎月クロミッドで採卵している患者さんをたくさん見てきました。
もちろん、自然周期で採卵は毎月できますが、
心と体がついていってないのに毎月卵巣に針をさして採卵。
卵巣が悲鳴をあげてないでしょうか。
そのうち、クロミッドを飲んでも採卵できる卵胞の数が減ってきたり、
子宮内膜が薄くなってしまったりしてきている方は多くないですか?

少し体をメンテナンスして、心と体のバランスが整ってきたころに
タイミング、人工授精、体外受精に再チャレンジされてはどうでしょうか。

K さんもじっくりと妊娠体質になる身体づくりをされて、
妊娠・出産されました。
ただ、妊娠に至るまで1年かかりましたが、
その間の苦労は大変なものだったと思います。

まず、ドクターからダナゾールを使った治療を勧められました・・・。

to be continued
Omura


2013年1月30日 blog 0

何が起こるかわからへん9-① Kさんからのメール

先日、昨年治療に来られていたK さん(40歳) から
「無事に出産しました!」というメールをいただきました。
彼女もかなり困難を乗り越えて妊娠・出産をされたので、
僕も良く覚えています。
メールの内容で、苦悩されていた頃のエピソードが
ブログを見て下さっている皆さんの元気を引き出してくれればと思い
K さんに許可を得て掲載させていただくことになりました。
内容は以下の通りです。

烏丸御池鍼灸院
大村院長先生
田内副院長先生
スタッフの皆様

ご無沙汰しております。そちらでお世話になっていました〇〇〇〇です。

1月15日(火)、3535gの女の子を無事出産致しました!
予定日より10日過ぎ、お腹の中ですくすくと成長してしまったため、
分娩が大変でしたが、ムチムチの女の子が元気に産まれてくれました!
出産後、日に日に可愛さが増し、同時にお世話になった方々の顔が思い浮かび、
感謝にたえません。

特に、烏丸御池鍼灸院の皆様には、本当にお世話になりました。
結果が思うように出ず焦りを感じた時に、
ネットで見つけたブログ『スローでええやん』のタイトルに惹かれ、
すぐお電話したのがご縁の始まりでした。
初めてお電話した時に副院長の田内先生が丁寧に話を聞いて下さり、
とても信頼できるところだと感じ、通い始めたのでした。

よく思い出すのは、卵は採れた数ではなく、
質が大切と言われていた院長先生のお言葉で、
病院での採卵後、隣のベットから、10個、20個採れた話が聞こえてくると、
焦りと「無理かもしれない…」という諦めの気持ちでいっぱいになった時もありましたが、
院長先生のお言葉を思い出し「私は私でいいんだ」と気を取り直して、
前向きに頑張ったことを思い出します。

子供の名前は、〇〇〇です。
お世話になった皆様のことを忘れることなく、大切に育てていきたいと思います。
本当にありがとうございました。

〇〇〇〇

K さんも卵胞が育ちにくく、グレードがかなり悪かった状態から
治療を始めさせていただくことになりました。
そのエピソードは次のブログでご紹介しましょう。

Omura


2013年1月28日 blog 0

何が起こるかわからへんNo.8-③ 卵胞が少ない

前回は「そしてたった2個残った受精卵のグレードは・・・。」
で話が終わりましたが、今回はその続きです。

T さんの受精卵2個は胚盤胞のグレードC 評価。
一つはフレッシュで移植予定。もう一つは凍結して、
もう一回移植できるようにしたかったのですが、
凍結に耐えられないレベルの胚だったので、
2つ移植することになりました。

胚盤胞のおおよその妊娠継続率は以下の通りです。
AA 40.8%、AB 26.7%、BA 37.6%、BB 21.4%
(生殖医学会のデータを参考にしました)

グレードC 評価がつく場合は、20%以下になるケースが
多くみられます。
ですが、T さん、胚盤胞のグレードCで妊娠、出産されました。

データは確率ですね。でも、何が起こるかわかりません。
移植前後に鍼灸治療させていただいて、
妊娠判定後も流産予防で鍼灸治療を
続けさせていただきました。

そして今回、2人目を望まれて来院されたのですが、
自然周期で採卵したいということで、相談されたのですが・・・
Tさん:「今回は三宮方面のクリニックに行こうと思っているのですが・・・」
大村:「何で病院を変えるのかな。小さい子を抱えて三宮まで通院するの・・・?」
Tさん:「自然周期の採卵で・・・とネットで書いていたので」
大村:「ん~、近い方がいいんじゃない?」
「自然周期の採卵なら前回お世話になった病院でもやっているし、
不妊治療を専門にしている病院ならどこだってやってるよ」
Tさん:「え~、そうなんですか?」
大村:「まったく薬を使わないで採卵するのを完全自然周期とでも言いましょうか」
「クロミッドやセキソビット、フェマーラなどの経口薬を飲んで採卵するのも
自然周期の採卵って言うんだよ」
「だから、通院に負担をかけすぎないで通えるところがいいのでは・・・」
「一度、前回行っていた病院の先生に相談してみられたら」とアドバイスしました。

T さん、早速、以前お世話になっていた先生を訪ねて話をしたら、
クロミッドで自然周期の採卵をする方向性で治療されることになりました。

自分一人で考えていて、ネットの情報で検索すればするほど、
頭の中がこんがらがって何がいい方法なのかわからなくなってしまう人が
少なくないように思います。むしろ、かなり多いかも知れません。

当院は妊娠体質にする鍼灸治療だけではありません。
どんな方法の治療法があるのか、どんな病院がその人に合っているのか、
どれくらい通院しなければいけないのかなんか疑問に思っていること、
いっぱいありませんか?
疑問に思うことがあったら、できる範囲ですがご相談にのりますよ。
もし悩んでおられる方がおられましたら、
当院のホームページの問い合わせフォームでご連絡ください。

Omura