辛抱強く鍼灸治療に来ていただいて、
カラダを妊娠体質に改善。
薬の服用なしで、自力で胚盤胞になる力が
ついて妊娠。
鍼灸治療9回目のころ、
当院に来られるようになってから
初めての人工授精の周期でした。
(人工授精は、今までに4回されています)
次の周期に、転院の相談を受けました。
Hさんは42歳になって、
Dクリニックに転院されました。
DクリニックでのAMH検査の結果は、
0.76。1年前、他院での検査結果は、
1.41。
AMH検査は通称、卵巣年齢検査。
数値が低くなっているので、
卵巣が老化しているということがわかります。
プラノバールを2週間服用後、
ショート法で採卵。
4個出てきた卵胞ですが、採卵できたのは
わずかに1個。
結局、受精4日目の桑実胚でストップ。
ショート法にトライしたにもかかわらず、
受精卵をキープすることができませんでした。
2周期ほどあけて、レトロゾール1錠を
6日間、生理3日目から服用。
3日目と8日目にhmg300単位を2回注射。
卵胞は8個出てきて、採卵できたのは4個。
1個をフレッシュの胚盤胞で移植。
もう1個は胚盤胞で凍結できました。
フレッシュの胚盤胞を移植して
妊娠されました。
ですが、妊娠6週を過ぎても、
胎のうが確認できず流産されました。
2か月後、同じ方法で採卵。
2個採卵して、2個受精。
凍結している胚盤胞と今回採卵して
胚盤胞になった胚を合わせて、2個胚移植。
判定はプラス。妊娠されました。
出されたお薬は、プレマリン、ルトラール。
バイアスピリンにヘパリンの注射。
今回は妊娠5週2日で胎嚢が確認されました。
ですが・・・
妊娠7週2日の診察で心拍の確認ができず、
またもや流産されました。
漢方の先生に相談すると、のぼせている
カラダの状態が流産を引き起こした可能性が
あると言われたそうです。
風熱(ふうねつ)というものです。
Hさんは腎陰虚でカラダが火照っている。
しかし、下半身は冷えている。
そんなタイプの方が、風邪などを引いたりすると、
風熱の状態になり、妊娠を継続できない
ことがあります。
Hさんは43歳になり、またもや転院を決意
されました。
このときも相談を受けました。
Yクリニックも不妊治療では実績もあるし、
当院に来られている方で、Yクリニックに
通院されている方も多いですよ。
今、自分の気持ちがYクリニックに傾いて
いるのなら、転院の時ではないかと思いますよ
と、アドバイスしました。
まず、Yクリニックでは排卵を誘発するお薬は
なし。生理から20日目で2個採卵。
1つはグレードCの評価でしたが、
胚盤胞で凍結できました。
次の周期はレトロゾールを服用して1個採卵。
受精したがすぐに分割停止。
Yクリニックでは、採卵後ソフィアを
12日間服用。
高温期を作って、次の周期に採卵される
とのことでした。
Hさんは、レトロゾールでの採卵に不安が
ありました。
薬を飲まなくて採卵したら、グレードは
悪かったけれど、胚盤胞で凍結できた。
だけど、レトロゾールを服用したら、
受精はしたものの、分割停止したからです。
ですが、Yクリニックのドクターは、
レトロゾールを服用しての採卵を
すすめられました。
結果、またしても4日目の桑実胚で分割が
停止。
Yクリニックの方針では、胚盤胞を4つ
ためてから胚移植しましょうということでした。
この調子だったら、いつになったら
胚盤胞で4つためられるか、不安ですね。
またソフィアを12日間服用。
生理3日目の血液検査の結果は、
E2 7.0、LH 1.5、FSH 3.2。
全体的に数値が低すぎかな?
ソフィアの効果が、効きすぎているのではと
言われたそうです。
今回はクロミッドとhmgの注射をすすめ
られましたが、最初に通っていたクリニックで
良い結果が出なかったので、Hさんの希望で
お薬をなしで採卵することになりました。
ドクターに自分の希望を言うことは、
とっても大切。遠慮していると、どんどんと
自分の思っていた治療法から遠ざかって
しまうことになりかねません。
ただ、いまだにドクターに希望を
受け入れられなくて、インフォームドコンセントが
スムーズになされていないクリニックが
あるのは、現実の問題ですね。
患者さんから聞いた話で、おおよそ
そのクリニックにどんな先生がいるか
わかりますからね。
生理から22日目の採卵の予定でしたが、
採卵日当日、排卵してしまっていたので、
急きょ人工授精に切り替え。
ですが、2週間後に生理が始まってしまいました。
今回は、ソフィアの服用をせず、
薬なしでの採卵を希望されました。
生理3日目の血液検査の結果は、
E2 11.9、LH 5.4、FSH 11.3。
おおよそ、血中のホルモンバランスは、
ソフィアを服用した前回より、
良くなっていますね。
鍼灸治療の効果が、出てきているのだと
判断します。
それは、薬を服用しなくても、
Hさんの自分の力で、ホルモンバランスを
整える力が出てきたからではないでしょうか。
生理から15日目で、卵胞の大きさは15ミリ。
E2 199、LH 11.3 FSH 7.2、
P4 0.1。
18日目の採卵になりました。
このとき、以前のように採卵の時に
排卵していてはいけないので、
当院オリジナルの排卵を1日~2日間
抑制する鍼をしました。
通称、排卵止めの鍼灸治療です。
そして、1個採卵できました。
凍結してあるものと、今回採卵した
受精卵のグレードを比べて、良い方を移植
しましょうということになりました。
何と、今回、薬なしで採卵した方の胚盤胞の
グレードが良かったので、フレッシュで
1個移植。
胚移植の前日、1日後、6日後に鍼灸治療を
させていただきました。
結果、プラス判定。
プラス判定が出た週から、
流産予防の鍼灸治療をしました。
妊娠5週と2日で、7.5ミリ胎のうを確認。
妊娠6週と1日で心拍の確認ができました。
以後、13週と5日まで、流産予防の
鍼灸治療をさせていただきました。
今回、Hさんが43歳で妊娠された時の
採卵の方法は、お薬を服用せずに、
自然に出てきた卵胞を採卵。
辛抱強く鍼灸治療に来ていただいて、
体質改善をしたことが良かったと思います。
Hさんは自力で胚盤胞になる力がついていた
ということですね。
採卵前のHさんのカラダの状態は、
100パーセント良くなっているというのでは
ありませんでした。
ですが、特に卵子の質に悪影響だと思われていた、
血の濁りである、瘀血(おけつ)問題は、
ほとんど80~90パーセントきれいになって、
良くなっていたのです。
血液の質をキレイにするということは、
質の良い卵子を育てるのに、
とっても大切なのであります。
Omura