ダナゾールは子宮内膜症の治療に使われるお薬です。 女性ホルモンの卵胞刺激ホルモン(FSH)、卵胞ホルモン(E2)、 黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑え、人為的に閉経の状態を作ります。 偽閉経状態にして子宮内膜が広がらないようにします。 ダナゾールを100mg×4T(分2)を10週間服用し、その翌日にリュープリン1.88を投与し、 ウルトラロング法に準じた卵巣刺激を行う方法にチャレンジされました。 ・・・が卵胞は2個しか出できませんでした。 1つは未熟で受精せず。1つは3日目の凍結になりましたが、 グレードが悪いので、再度採卵しなければいけなくなりました。 K さんはこの結果にガックリでした。薬の副作用を我慢しながら ウルトラロング法にチャレンジしたのに・・・。 薬の副作用で気分がすぐれないときがあったので、 鍼灸と整体で吐き気や気だるさ、肩こりなどは随分と軽減できていました。 しかし、舌と脈の状態はかなりのストレスを感じているようでした。 舌の色は赤くなり過ぎて、脈は固い感じです。 東洋医学的に言うと脈は「弦」(げん)という症状です。 当院のホームページで「あなたはどのタイプ?」という項目がありますが、 肝気鬱結(かんきうつけつ)という症状です。 ストレスで自律神経のコントロールが利かなくなり、 女性ホルモンの分泌が乱れます。血行は悪くなり肩こりや下半身の冷えがきつく なったりします。特にK さんは腰痛もあり、下半身のむくみが顕著でした。 K さんに話を聞いたら、女性上司のパワハラが続いていて、 毎日ストレスでイライラした生活をされていたようでした。 そこで、腰痛、肩こり、むくみはもちろんですが、気持ちをリラックスさせる 鍼灸治療を中心に治療を進めることにしました。 体調も良くなった頃、クロミッドを一日に2錠服用を5日間。 自然周期の採卵をすることになりました。 当院に来られてから7か月目のことです。 採卵の周期はスーパーライザーも併用し、 卵胞は6つでき、5つ採卵。そのうち3つが受精し、 結局残ったのは1つ。3日目で凍結を薦めました。 それは、胚盤胞まで培養すると分割停止する恐れがあるからです。 胚盤胞移植にこだわらなくても、3日目の凍結胚移植で 妊娠されるケースも結構多いですよ。 一つしか残らなかった3日目凍結の受精卵ですが、 今までのグレードに比べると 良くなっていました。 今までがグレード3~4だとしたら、グレード2くらいです。 すごくいいね!!とは言えないものの、まあまあだねという評価です。 花粉症の季節に入り目がかゆく鼻水、鼻づまりの症状がとてもきつかったので、 2か月ほど花粉症の治療もしながら体調が回復するのを待って 人工周期で凍結胚移植。 子宮内膜は移植直前で7.4mmと薄かったのですが、 何とか8mm弱で移植することができました。 移植の当日、移植後にも鍼灸治療に来ていただき、 初めての妊娠判定プラスでした。 プラス判定後も花粉症の症状を緩和するために 引き続き鍼灸の治療に来られました。 治療期間中、 K さんに良くお話ししたのは、 卵胞は数じゃなくて質が問題。すごく良くなくても、 まあまあかな・・・というレベルでも妊娠できるから・・・と良く お話ししたものです。 採卵できる卵胞の数が少ないからといって、悲観しないでください。 身体を妊娠体質にして、以前よりも良くなっていれば 妊娠の可能性は広がりますよ。 Omura