タヒチと言えば何を思い浮かべますか?
ココヤシ、パレオ、熱帯魚…じゃなくて黒真珠ですね。
皆さんご存知でした?世界の黒真珠の約95%がタヒチ産なんですよ。
という訳で、私、黒真珠作りの職人でした。

同業の先輩達は、この職業を「技術者」と呼んでました。
そして、名刺の肩書きを「テクニシャン」って書いてましたが、
私には、どうも変に聞こえるので、肩書きなしを貫き通しました。

ところで、黒真珠は、海がすごく綺麗な所でないと良質なものはできません。
海が綺麗=人の住んでいない田舎
つまり、無人の場所に作業場と住居を一から作ったんですね。

ちなみにこんな生活でした。
浅瀬の上の二階建て(一階作業場、二階住居)の二階に住む。
見た目は水上バンガロー風。(1枚目の写真を参照)
しかし、内情は、壁が薄いベニヤ一枚。物音は漏れ放題。
通勤時間10秒、二階から一階に降りるだけ。
当然遅刻なし。必ず誰かが起こしに来てくれる(笑)。
電気は発電機と小さなソーラーパネルのみ。しかも節約のため9時には消える。
水道はなく、雨水が全て。飲み水はボルビックと雨水。
最初の頃、一週間続く激しい下痢に見舞われ、死ぬかと思ったが、
誰もが経験するらしく、その後は身体が順応。
コップ一杯で洗顔と歯磨き。小さなバケツ一杯で全身を洗う。
雨が降らないとさらに少ない量の時も。
これを期に、節水の達人になる。
食料調達のため、仕事後の魚釣りは強制出動。
釣れないと死活問題になるため、釣りの腕が自然に上達。
料理は当番性。多いときは15人前を2人で作る。
おかげで、料理の腕前上がる。魚の三枚下ろしが得意技。
車はもちろんない、移動手段はボートのみ。
必要に迫られ、日本で小型二級船舶免許を取得。
当時、車よりボートの運転の方が上手かった。
テレビはもちろんない。
どうも吉幾三の歌に似ていますね。

ちょっと長くなりましたので、今回はこの辺で。
次回は仕事の内容をもう少し説明しますね。

田内

1枚目は養殖場の全景。
2枚目は養殖場の船着場。透明度が良すぎるので浅く見えるが、
足場の下は深い所で水深5mある。